公社物件のメンテナンス

不況が進むなか、分譲マンションも供給過剰となり、1998年以降には売れ残りも一万戸を超えるほどとなっています。公共も民間も同じ土俵に上がることになり、熾烈な経済競争となっています。
 その象徴的な事件が、公共マンションの値下げ問題です。
 最近では、北海道住宅公社のマンションが1000万円もの値引きをしました。建設した約半分の80戸が売れ残ってしまったのです。周囲の民間のマンションが約1000万円安かったのですから、それも当然の結果と言えるでしょう。
 本来、値引きをしないことが常識となっている公共マンションで、3600万円だったものが2600万円に下がったのですから大変な値引率になります。マンションの価格を変更する場合は、知事など自治体の長が判断する規定になっています。しかし北海道の例では、頭金の部分を公社が肩代わりし、さらに修理費の名目で購入者に現金が振り込まれるといった方法で、事実上1000万円の値引きとなったわけです。しかも値引き前の購入者には無断で行われたので、後々厄介なことになるのは必死でしょう。
 しかし、こういったことは今後も引き続き起こるでしょうし、これからマンションを購入する側からすれば、少なくとも選択肢が増えたことは確かですから、必ずしもマイナス面ばかりでもありません。
 では公共マンションと民間マンションの違いは、どのような点があるのでしょうか。
 まず、公共マンションがこのような高値になってしまった理由として、公社そのものの構造的欠陥が挙げられます。公社は、土地を先行取得する方法をとっています。これは、安い土地と建設費のみでマンションを建てようとするからです。民間の場合は、そこに利益が入ってきますから当然その分高くなるわけです。
 ところが、バブル崩壊後に地価が下落し続け、民間企業は利益と建設費を縮小しました。しかし、公社は高い土地の値段にそのまま建設費を上乗せするかたちとなり、結果的に民間より割高になってしまったのです。ちなみに民間マンションと公共マンションとの平均坪単価の逆転は平成三年頃といわれています。
 この格差は驚くほど大きく、その主な要因は地価の大幅な下落と人件費、供給過剰ということが挙げられます。
 さて公共マンションの特長といえば、広い間取りの設計になっていることでしょう。国土交通省の方針に添って設計されているため、そのほとんどが80平米以上となっています。
 これは狭くとも安いマンションを供給しようとしてあの手この手で魅力的な物件作りにやっきになっている民間とは全く逆であるといえます。
 耐震性能偽装物件が「広くて安い」ことを売りにしていたことが、いかに無理なことだったかはご周知のとおりです。
 先に指摘したとおり、公共マンションは民間ほど建設費を縮小してはいません。コストを含めて、公共はチェックが甘いといえます。しかし、これがよい方に作用している場合もあります。「シンプルだが広くてしっかりしたマンション」を探している人にはぴったりの物件かもしれません。もともとコストがかかっている建物ですから、大幅な値引きで手に入れられたらお買い得ともいえるでしょう。
 しかし、問題はメンテナンスや大規模修繕です。要は、購入前に販売元をよく調べるということに尽きます。その上で「シンプル型」か「付加価値型」かを見極める目を養うことが大切です。