戸建て感覚のメゾネットタイプ
マンション建築の住戸構成は、ますます複雑化し、単なるフラットの積み重ねから、住戸を上下にずらしたメゾネット、さらにそれらを相互に組み合わせたダブルメゾネット、これらにフラットを挿入したものなど、まるで立体パズルさながらになってきています。加えて、アクセス方法のバリエーションにも極めて多彩なものがあります。
その結果「三層スキップフロア中廊下型ダブルメゾネットフラット混合型」などという慣れないうちはなかなか自分の家にたどりつくことができないような住戸構成が出現しました。
このような複雑化が進んだ理由としてまずは、「できるだけ戸建て感覚で住みたい」「隣家の住民と玄関で顔を合わせたくない」という住み手のニーズが挙げられます。
さらに設計者のチャレンジ精神も原因の一つといえるかもしれません。
ここでは「複雑化」マンションの基本型であるメゾネットタイプについて説明いたします。
メゾネットタイプとは、マンションの住戸を二つに分け、それぞれを上下階にずらす構成方法の建物です。マンションでありながら、上下階を階段で結び、二階建ての戸建て住宅感覚を楽しめるというわけです。
さらに上下階の高さを活かして、広い吹き抜け空間を実現できることもメゾネットタイプのメリットです。二層分の空間を確保できるため、マンションは天井高が低いといった汚名を返上できる方式といえます。
またメゾネットにテラスを加えたプランでは、まさに戸建て住宅さながらの住居空間が得られ、マンションに住んでいることも忘れてしまうほどです。
つまり住戸構成の複雑化は、それだけダイナミックな住み方が可能になることを意味しています。
しかし、もちろんデメリットもないわけではありません。
よくメゾネットタイプのマンションでは、階段途中に踊場がなく、細かい段取りでほとんど螺旋(らせん)階段のように設計されていることがあります。螺旋階段に近いものは、階上でつまずいて転倒すると途中で止まることができず、そのまま階段の一番下まで転がっていってしまうからです。そのためゼネコン設計部などでは、禁止や自粛しているところもあるほどです。
また、注意しなければならないのは、住戸の廊下部分に十分な防音、防振対策がなされているかという点です。
メゾネット住戸を上下に重ねると、他人の住居部分である上階の廊下部分が、階下の居間や寝室に重なるケースがよくあります。単なるフラット型のマンションでも上階の音が気になる人が多いのですからメゾネットの場合はてきめんです。購入の際は、ぜひ廊下部分の防音対策を確認してください。
さて、ダイナミックな住み方がメリットであるメゾネットタイプですが、これが逆にデメリットとなる場合もあることも留意しておいてください。
住民は一日に何度も上下階を行き来することになります。とくに居間やダイニングが下で、トイレが上にある場合は、その都度階段を昇って往復しなければなりません。さらに掃除洗濯等の家事を含めるとこれがかなりの労力を必要とするのです。二階は子供部屋だけといった戸建て住宅との違いはここにあります。
メゾネットタイプが、シングル向けの賃貸マンションに多いのもこれらの理由があるからではないでしょうか。