中古マンション

バブル経済崩壊後、中古マンション市場は玉石混淆の時代に入り、建物そのものはコストに見合うグレードで成り立っているものの、売値にばらつきが出てくるようになりました。そのため「高くて粗末な物件」や「安くて良質な物件」が混在する結果となったのです。
 ただ注意していただきたいのは、「安くて良い建築は存在しない」ということです。本来なら高い価格で売るべき物件が、バブル崩壊によりその価格で売れなくなったため、ダンピングが始まったというわけです。
 一方新築マンションのほうは、バブル経済時の建築技術がすでに失われ、バブル期に可能だった建築がいまでは不可能になっています。これは職人の不在と同時に加速した工業化やそれに輪を掛けたコストダウンの大合唱が原因と思われます。
 それでは具体的に中古とは新築とでは、どのような違いがあるのでしょうか。
 まず中古の場合は、実際に現物を見ることができる点で購入者には有利といえるでしょう。特にバブル期に設計施工された物件をよく見てまわることをお勧めいたします。当時はまだ職人気質が残っていて、かつ資金力もあり、それらを存分に注ぎ込んだ建築は、中古とはいえ、全体の寿命では新築に勝るものも数多く存在します。竣工時期でいえば、1990年前後がベストでしょう。現在ではとうてい実現不可能な優良物件が非常に多くあります。
 この時代は施主の資金が潤沢だったため、設計・施工の各段階で次々とグレードアップが図られました。不思議なことは、設計・施工の段階において後のほうに資金を少し余計にかけると建築全体のグレードが断然増したことです。逆にそこでお金を渋ると急に建築が貧相になってしまいます。
 とにかく中古物件は徹底的に現物を見てまわることに限ります。とくに外装材、サッシ、水廻りなどをよく見ておくとよいでしょう。
 それでは新築物件はどうなのでしょうか。新築の場合は、契約時点では現物が存在しませんので、図面を徹底的に見るしかありません。
 ここで注意してほしい点は、モデルルームなどにある「基本設計図」ではなく「見積図面」を見るということです。 見積図面は、設計者が全力を投入してつくるものです。この図面をもとに総工費を割り出しますから、施主や販売業者にとっても非常に重要なものになります。
 見積図面を素人が見るのは難しいことのように思われるかも知れませんが、実はそうでもありません。きちんと描かれた設計図面というものは、一目でそれとわかるものだからです。
 もしモデルルームを訪れて図面を見る場合は、信頼できる建築士と同行するのが最良のパターンと言えるでしょう。その際、購入者自身が質問をできるようになっていれば完璧です。