マンション最新設備の見極め
いまや建築設備の発達は、まさにめまぐるしいスピードで進行しています。次々と新しい製品が開発されますが、裏を返せばどれも開発途上の製品だとも言えるわけです。
しかし販売会社としては、新製品を客引きとして利用しない手はありません。広告チラシなどでも「業界初」とか「最先端設備」などと大々的に宣伝するわけです。
したがって、買い手はそれらが本当に自分たちにとって必要なものかどうかをしっかり見極めることが必要です。同じ設備でもその設備が必要な人もいれば、まったく必要でない人もいるからです。
<宅配ボックス>
日本人の生活に宅配便は欠かすことのできないものになりましたが、夫婦共働きの場合、なかなか手元に届かず苛立つことも少なくありません。不在だったら玄関先に置いて行ってもらうということは今ではほとんど不可能です。このような場合は、宅配ボックスが設置されていれば、不在でもその日のうちに荷物を受け取ることができます。
<トランク付エレベーター>
エレベーター内の下のほうのパネルを開けるとさらにスペースがあります。これはマンション特有のもので、引越しの際に家具などを運ぶのに便利ですが、建築上はかなり苦労して設計されているものです。また居室内で住民が亡くなった場合に棺桶を運ぶのにも使われます。ちなみにエレベーターのドアは、防犯対策としてガラス窓付きのものがよいでしょう。
<再吸入式レンジフード>
日本の料理は水蒸気や煙を多く出す傾向があります。特に外国製のシステムキッチンなどだと排気量が低く設定されているものもあり、天井に調理の煙が滞留してしまうことが多いものです。そこで最近では、天井に滞留した煙を再度、吸入するフードが普及してきています。これまでは天井に煙が溜まるとあちこちの窓を開けて排気していたことを考えると大変便利です。ちなみに排気ファンなどのない自然換気フードは上下階の排気が逆流するため、マンションでは不可となっています。
<温水床暖房>
一時期流行した床暖房のシステムで、グレードの高い物件では設置されていましたが、最近はあまり見られなくなりました。床下にパイプをめぐらして温水を流すのですが、立ち上がりに時間がかかることやコストの面から入居者にほとんど使用されなかったからです。また電気カーペットの普及も一因だと言われています。アンケート結果では、9割の入居者はこの設備を使わない、と回答したケースもあります。イニシャルコスト(設置にかかる費用)も大きな設備ですので、これはもったいない話です。
<浴室乾燥機>
これも一時期は定番とも言われた設備ですが、現在はあまり使われていないようです。しかし、「毎日使っている」という人もいますので、ライフスタイルの違いが顕著にあらわれる設備でしょう。またこの設備は文字通り浴室の湿気も除去しますので、カビ対策には有効です。
<ビルトイン型空調システム>
一見セントラル空調風の個別空調機です。天井懐に空調機器が仕込まれていて、吹き出し口から冷暖房の空気を送り出すもので、壁付きのクーラーを嫌う人にはいいと思いますが、加湿機能が付いているもの以外は特にメリットはないと言えそうです。逆に、天井内でダクティングしなければならないため機構が複雑になり、メンテナンスにも手間隙がかかります。壁付きのものと比べるとイニシャルコストも大幅にアップします。
<ゴミ置き場のSK(シンク)>
ゴミ置き場は持ち回りで住民全員が清掃しなければならないため、マンションにとって非常に重要な場所といえます。規模も余裕がないとたちまちゴミがあふれてしまいます。コンクリートでしっかりと区画され、さらに水道が引いてあれば清掃に便利です。SK(シンク)が設けられていればさらに利便性が高まるでしょう。
購入したいマンションにどんなに立派な最新設備が納入されていたとしても、それが必要のない設備だったとしたら全く意味のないものになります。それどころか買い手はその使わない設備のイニシャルコストを事前に支払わなければなりません。自分の生活そのものを再度見つめ直し、「最新設備」のうたい文句に踊らされることなく、それが自分のライフスタイルに本当に必要かどうかを検討する必要があります。